NBI内視鏡
がんの早期発見を目指して
最新型内視鏡を導入
口の中にできるがんを総称して「口腔がん」と言いますが、その中で約50%~60%を占めるのが「舌がん」です。年間約6,000人が口腔がんにかかり、約3,000人が死亡しています。
決して一般的な病気ではありませんが、口内炎などと思って放置してしまい、かなり進行してから受診されるケースが多く、リンパ節などに転移している場合も少なくありません。進行も急速であり、早期発見が重要ながんの内の一つです。
また舌は味覚や発音、嚥下(物を飲み込む)など様々な機能を持っていますので、がんによって障害されることでQOL(生活の質)を大きく落としてしまいます。
自覚症状としては舌に硬い“しこり”やただれがありますが、痛みや出血を伴わないこともあります。多くは舌の両脇の部分、または裏側など見えにくい場所にできますが、違和感があれば鏡などを使ってご自身で確認してみることが大切です。
がんになる一歩手前の状態に「白板症(はくばんしょう)」と呼ばれる、粘膜が白っぽくなる症状があります。全てががんとなるわけではありませんが、この中で一部赤色になっている(紅板症:こうばんしょう)状態がみられた場合には、その後がん化する可能性があると言われています。がんが進行してくると痛みや持続する出血、口臭などの症状が出てきます。こういった症状がみられた場合や、特に口内炎が2週間以上治らない、といったときは、早急に医療機関を受診するようにしてください。
舌がんの治療は主に手術療法と放射線治療が中心となります。抗がん剤による化学療法も組み合わせることがあります。進行の程度、また転移の有無などを総合的に判断し、患者さんの年齢や状況も考慮して治療法が選択されます。舌がんと診断された際には、舌がんを治療することのできる専門の医療機関をご紹介します。
舌がんを発症する主な要因には、習慣的な喫煙や飲酒、合っていない入れ歯や虫歯・かみ合わせの不具合などによる慢性的な刺激、口の中の不衛生な環境などがあります。予防には禁煙や節度ある飲酒、バランスの良い食事、口腔内を清潔に保つことなどが大切です。
また舌は筋肉でできている組織ですので、繰り返しになりますが舌がんは進行しやすいうえに気付きにくい病気です。そして舌は味わう、飲み込む、喋るなど、私たちが健康的に生きていくうえで非常に重要な機能を持っています。こうした機能を残すためには何よりも早期発見、早期治療が重要です。少しでも気になることがあれば早急に医療機関を受診するようにしてください。