「新型コロナウイルスのワクチン接種」について

副院長の米澤です。

新型コロナワクチン接種が日本でも始まりましたね。

打つべきか、打たない方がよいのか、様々にお考えの方もおられると思います。」

他の自治体では徐々に接種のスケジュールが決まってきているようですが、東大阪市はまだ今決定に向けて調整中のようです。

新型コロナワクチン接種の最新の情報が入りましたら、当院LINE公式アカウントでお知らせいたします。

https://lin.ee/3KKrJ6L

さて今回は、その「新型コロナウイルスのワクチン接種」についての現時点での情報をまとめましたので、ご覧いただければと思います。

先日、日本のニュースで次のような、新型コロナウイルスのワクチン接種に関する報道がなされました。

「アメリカ国内で、ワクチン接種後に何らかの理由で死亡した事例は全体の0.003%であった。

CDC(アメリカ疾病対策センター)は『死亡がワクチン接種に関連があるとは認められないが、引き続きくわしく調べる』としている。」というものでした。

 

この報道を受け、みなさんはどのように思われたでしょうか?

「やっぱり、ワクチン接種はやめとこうかな」「以前、アナフィラキシーの報告もあったから怖いな」などと思われた方も多いのではないでしょうか。

ところが、実際のCDCからの発表を確認してみると、日本のニュースでは報道されていない記載があることが分かります。

「臨床試験におけるファイザー社ワクチンの新型コロナ予防効果は95であり、一般的な副反応としては、悪寒倦怠感頭痛注射部位の痛み腫れ発赤であった。

副反応は通常、ワクチン接種後の1~2日以内に起こり、ほとんどは軽度から中等度の症状が数日で消失する。

米国では何百万人もの人々が新型コロナウイルスのワクチンを接種しており、ワクチン接種後のアナフィラキシーの頻度は100万人あたり約25とまれであり、ワクチンは安全効果的である。

現在まで、ワクチンの安全性の問題を示す死因は把握していない。」とCDCは発表しています。

なぜ日本のニュースではこれらの内容を報道せず、「ワクチン接種後に何らかの理由で死亡した事例は全体の0.003%」のみを取り上げたのでしょうか。

その真意は定かではありませんが、これではワクチン接種に対する否定的な印象を生じさせてしまう可能性があります。

 

実は、令和元年の交通事故件数から算出した、日本人口における交通事故の死亡確率がちょうど0.003%と言われています。

すなわち、屋外で道を歩いたり、自転車に乗ったり、車やバスに乗っている人が交通事故に遭って、死亡する確率が0.003%なのです。

交通事故による死亡確率を恐れて外出を控える人はほとんどおられないと思います。

私は新型コロナウイルスのワクチン接種については積極的に受けるべきだと考えています。

我々は、事実の一部のみを切り取ったようなニュース報道だけで物事を判断するのではなく、様々な視点から眺める事が重要であると考えます。

医学的な事実に関しては、私たちが得意とする分野であり、このブログを通じてこれからも皆様に確かな医学情報を発信していければと考えております。

 

以上、「新型コロナウイルスのワクチン接種」についてでした。

「新型コロナウイルスのワクチン接種」に限らず、何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

 

 

花粉症に対する「初期療法」について

副院長の米澤です。

みなさん、今年のお正月、3連休はどのように過ごされましたでしょうか?

昨年末から感染者数が全国的に再増加傾向であった新型コロナウイルスの影響で、帰省や初詣といった、例年であれば当たり前のように行っていたイベントなどを自粛せざるを得なかった方も多かったのではないでしょうか。

しかし、いよいよ2月下旬からは新型コロナウイルスのワクチン接種が国内でも順次、行われる計画のようです。夏には1年延期されていた東京オリンピック・パラリンピックの開催も予定されています。

今年こそは、これまで苦しめられてきたコロナ禍の生活を何とか乗り越えて、今までは当たり前のように行ってきたことを、当たり前のように行える日々を1日でも早く取り戻したいものです。

 

さて、本日は、花粉症に対する「初期療法」についてのお話です。

まず、花粉症の治療には、大きく分けて薬物療法アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)手術療法の3つがあります。

さらに、薬物療法には、花粉が飛び始める以前あるいは症状が軽い時期から薬の使用をはじめる「初期療法」、症状が強くなってしまってから始める「導入療法」、初期療法や導入療法で症状が抑えられた状態を保つ「維持療法」があります。

 

比較的症状の軽い方であれば、花粉が飛び始めてから薬物療法を開始しても構いませんが、中等度以上の症状である場合、症状が出現してからでは薬物療法もなかなか効きにくいことがあります。中等度以上の症状とは、1日のくしゃみ回数または鼻かみ回数6~10回以上と定義されています(鼻アレルギー診療ガイドライン2020)。

そのような方に対しては、花粉が飛散する1,2週間前から薬物療法を開始することで、①症状の発現を遅らせる②花粉飛散ピーク時の症状を抑えることが出来ると報告されています。

 

「初期療法」で使用する薬物療法は、第2世代抗ヒスタミン薬鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)ロイコトリエン拮抗薬といった、「導入療法」「維持療法」でも使用する薬が中心となりますが、症状の種類や程度生活スタイルに合わせてアレンジする必要があり、われわれ耳鼻咽喉科医に直接相談して頂くことをお勧めします。

また、「初期療法」のタイミングについても、その地域における花粉の飛散時期に合わせて判断する必要があります。スギ花粉であれば、われわれの住んでいる関西では例年、2月上旬~中旬に飛散し始めることが多く、

1月下旬頃からスギ花粉症に対する「初期療法」は開始することをお勧めしています。

毎年、春の花粉症に悩まされている方々、今年は「初期療法」を行ってみてはいかがでしょうか?

以上、花粉症に対する「初期療法」についてでした。

 

なお、当院では、スギ花粉症およびダニ・ハウスダストが原因のアレルギー性鼻炎に対するアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)鼻づまりに対するアルゴンプラズマレーザー治療も行っておりますが、これらの治療は1月末でいったん受付を締め切らせて頂いております。

これは、2月以降のスギ・ヒノキ花粉飛散ピーク時に新たな治療を行うことによる副作用出現リスクを回避するためであり(すでにこれらの治療を開始されている方は引き続き治療を継続して問題ありません)、ヒノキ花粉飛散のピークが過ぎた6月以降には、改めてアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)アルゴンプラズマレーザー治療のいずれの治療も再開しております。

ですので、これらの治療を考えられている方は、今月、1月中のお問い合わせまたは受診をお勧めします。花粉症、新型コロナ、一緒に乗り越えていきましょう!

 

花粉症に対する「初期療法」以外でも、何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

花粉症レーザー治療は1月中にどうぞ。

あけましておめでとうございます!

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年はコロナ禍で、本当に大変な一年になりました。

今年もまだ感染が拡大しており、ご心配な方も多いと思います。

しかし過剰な報道などに振り回されず、きちんとしたデータに基づいた感染対策を心がけていくべきだと考えています。

具体的には手洗い、アルコール消毒、マスク着用、大人数での会食は避ける、など。

屋外でのスポーツや、密にならない活動は、感染拡大には無関係と考えられますから、できる範囲の経済活動はむしろ積極的に進めていくことも大事だと思います。

さて、今回は、花粉症レーザー治療についてです。

当院ではレーザーの代わりに、アルゴンプラズマ凝固装置という物を用いて鼻の粘膜を焼く治療を行なっています。

こちらの方がメリットが大きいと考え導入しているのですが、今回はこの機械の説明をしたいのではありません。

(ご興味がある方は、こちらのページをご覧ください。当院アルゴンプラズマページ

 

レーザー、アルゴンプラズマの治療の時期についてです。

花粉症対策として行う場合、シーズン中は避けないといけません。

つまり2月から5月は避けるべきです。

そして、レーザー、アルゴンプラズマ治療の効果の持続期間は、個人差はありますが、1年から長くて2年程度だと思います。

ですので、対策の効果を長く保とうとすると、1月中に治療するのが望ましいです。

特に鼻づまりが強い方には有効です。

ご希望のある方は、1月中にご相談くださいね。

手術が必要になることもある「扁桃炎」について

副院長の米澤です。

今年も残すところわずかとなりました。

例年であれば、12月は忘年会やXmasパーティーなどで街中は賑わうはずなのですが、今年は新型コロナウイルスの流行で外出は控えて、自宅でゆっくり過ごそうと思われている方が多いのではないでしょうか。

飲食業界の方たちにとっては、外出自粛が売り上げに大きな影響を及ぼしていることは明らかです。

われわれが出来ることとしては、料理などの持ち帰りやデリバリーサービスなどで少しでも売り上げに貢献し、コロナ禍のXmas、年末年始を何とか乗り越えたいものです。

さて、本日は、手術が必要になることもある「扁桃炎」についてのお話です。

扁桃炎とは、ノドの入り口にある左右2つの扁桃腺が炎症を起こす病気です。扁桃炎の症状としては、ノドの腫れノドの痛み発熱嚥下困難(飲み込みづらさ)、呼吸困難感(息苦しさ)首の痛み(リンパ節炎)などがあります。

扁桃炎のほとんどは、一般的なかぜの原因となるウイルスの感染によって引き起こされますが、細菌の感染が関与することもあります。

扁桃炎の治療としては、抗炎症薬鎮痛剤去痰剤抗生物質ネブライザーなどを組み合わせて行います。適切な診断の元に治療を行えば多くは数日で症状は改善しますが、なかなか良くならない場合には点滴治療を追加することもあります。

また、ノドの腫れがひどい場合や扁桃腺周囲が膿瘍化(扁桃腺の周りに膿がたまる)した場合には入院や緊急手術が必要な事もあります。

このような重篤な合併症を併発したり、1年間に4回以上の扁桃炎を繰り返すような時には計画的な入院のうえで、扁桃腺の切除を行う場合があります。

外来診察中に、「扁桃腺が大きいので手術してほしい」、「何度もノドが痛くなるので扁桃腺を取ってほしい」といったご希望を伺うことがあるのですが、

そのような場合には、『扁桃腺が大きいだけでは手術は必要ありません』、『ノドの痛みが全て扁桃炎というわけではなく、咽頭炎であることの方が多いです』とお答えしています。

ただ、すべてのケースでこれらが当てはまるわけではないので、扁桃炎咽頭炎を疑う症状でお困りの方は耳鼻科で一度相談することをお勧めします。

以上、手術が必要になることもある「扁桃炎」についてでした。

「扁桃炎」に限らず、何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

鼻水がのどに落ちる「後鼻漏」について

副院長の米澤です。

早いもので今年も残り2カ月となりました。朝晩はグッと冷え込むようになり、風邪の症状で来院される患者さんがさらに増えてきているように感じます。いまのところ、インフルエンザ流行の兆しはありませんが、新型コロナウイルス対策としても重要な体調管理、感染予防、3密を避ける行動は非常に大切なことだと考えます。

 

さて、本日は、鼻水がのどに落ちる「後鼻漏」についてのお話です。

後鼻漏とは、鼻の奥から粘液がのどに落ちる病態を表す医学用語であり、独立した病名ではありません。

 

代表的な後鼻漏の原因としては以下のようなものがあります。

・風邪

・ちくのう(副鼻腔炎)

・アレルギー性鼻炎

・寒暖差

・特定の食品/香辛料

・妊娠

・脱水症状

・特定の薬(経口避妊薬や降圧薬など)

・解剖学的異常

・逆流性食道炎

 

症状としては、のどの違和感または痛み痰のひっかかり鼻づまり鼻水声がれ

といったものがあります。

 

治療としては、ちくのう(副鼻腔炎)が疑われる場合には抗生物質や去痰剤の投与、アレルギー性鼻炎の場合には抗ヒスタミン剤やステロイド点鼻薬の投与、胃酸の逆流が考えられる場合には胃薬の投与が有効な治療となります。

 

また、家庭でも出来る対応としては

・粘液を薄くするために水分摂取

・塩水または生理食塩水での鼻うがい

・部屋の加湿

アルコールやカフェインなどの脱水症状を引き起こす物質を避ける

タバコや急激な温度変化を避ける

 

以上、鼻水がのどに落ちる「後鼻漏」についてでした。

「後鼻漏」に限らず、何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。