舌の痛み「舌痛症」について

副院長の米澤です。

 

10月に入り、朝晩はめっきり寒くなってきました。急な気温の変化で体調を崩されて、診察に来られる方も増えてきました。

例年、12月~2月にかけてインフルエンザ流行のピークをむかえるのですが、今年は新型コロナウイルスの流行もあり、特に体調管理、感染対策が重要な年と考えます。

当院でもインフルエンザ予防接種インターネット予約来院での予約回線混雑回避の観点から、電話での予約は受け付けていません)が開始となり、10月12日からは実際のワクチン接種が始まります。

今年の冬は、これまで以上に万全の態勢で臨みたいですね。

さて、本日は、舌(した)の痛み「舌痛症」についてのお話です.

 

舌痛症とは、明らかな原因が分からない、舌(した)の痛みに対する医学用語です。この症状は、舌(した)に限ったものではなく、歯ぐき、口唇、頬の裏側、口全体に及ぶこともあり、まるでやけどしたかのような灼熱感を伴うこともあります。

近年、明らかな原因が分からないと言われていた舌痛症に対して、様々な原因が指摘されるようになってきました。

 

代表的な舌痛症の原因としては

・口の渇き(口内乾燥症)

・口の真菌感染症(口腔カンジダ症)、ウイルス感染症、細菌感染症

・栄養不足(鉄、亜鉛、ビタミン不足)

・アレルギー

・胃酸の逆流(逆流性食道炎)

・特定の薬

・歯ぎしりなどの習慣

・糖尿病や甲状腺機能低下症などの内分泌障害

・不安、うつ病、ストレスなどの心理的要因

治療としては、口腔カンジダ症が疑われる場合には抗真菌薬の投与、ビタミン・栄養不足の場合にはその物質の補充胃酸の逆流が考えられる場合には胃薬の投与といったように

それぞれの原因に適した対応が重要です。

また、舌痛症と診断された患者様の中には、舌白板症、舌がんといった腫瘍性病変が隠れていることも比較的まれではありますが存在します。週単位、月単位で症状が続く舌(した)の異常を認める際には、耳鼻咽喉科、内科、歯科を受診することをお勧めします。

 

以上、舌(した)の痛み「舌痛症」についてでした。

 

withコロナ時代に迎える最初の冬が何事もなく過ぎていくことを切に願います。

舌(した)の痛みに限らず、何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

「逆流性食道炎」と「食事」の関係について

副院長の米澤です。

 

9月に入ってからも、まだまだ暑い日が続いている中、日が沈む時刻は少しずつ早くなり、着実に秋の気配を感じられるようになってきました。

秋といえば、紅葉狩り、秋の夜長、読書の秋、食欲の秋など、みなさんはどのような秋を思い浮かべるでしょうか?今年は新型コロナウイルスの影響で、様々なイベントが中止または縮小化されるようになり、巣ごもり生活でついつい食べ過ぎてしまう方が増えるかもしれません。

 

そこで、本日は、「逆流性食道炎」と「食事」の関係についてのお話です。

逆流性食道炎とは、当院ホームページの「病気の解説」

https://nishikawa-mimi.com/disease/throat08.htmlにもあるように、胃酸が食道、さらにはのど(咽頭)に逆流し、胸やけげっぷ長引く咳胃もたれおなかが張る(腹部膨満感)、声がれ(嗄声)、のどの違和感(咽喉頭異常感)といった様々な症状を生む病気です。

その要因としては、食生活(早食い、大食い、食後すぐに横になる)食事内容(脂っこいもの、甘いもの、酸っぱいもの、香辛料、コーヒー、アルコール、炭酸飲料)といったものが複合的に関係していると考えられており、近年は食生活の欧米化で患者数は増加していると言われています。

診断には問診が最も重要で、状況に応じて内視鏡検査を行うこともあります。

治療としては、生活指導(腹八分目で規則正しい食事、食後2~3時間は横にならない)食事内容の工夫(原因となるような飲食物は控える)寝るときに頭部を少し上げる内服薬(胃薬)を組み合わせて行います。

問診の段階で診断できることも多いですが、アレルギー性鼻炎ちくのう(副鼻腔炎)が原因である場合もあり、上に挙げたような症状でお困りの方は耳鼻咽喉科や内科で相談されることをお勧めします。

 

以上、「逆流性食道炎」と「食事」の関係についてでした。

新型コロナウイルス流行下での巣ごもり生活を快適に過ごすためにも、食べ過ぎには注意をして、食欲の秋を楽しみたいですよね。

何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

外耳炎と中耳炎の違い

院長の西川です。

まだまだ暑い日が続き、いつまで続くのか、と思いますが、いかがお過ごしでしょうか。

耳鼻科は、花粉症の時期と、風邪が流行る寒い時期が患者さんが多く混む時期で、夏場は耳鼻科領域の病気が少なく比較的空いています。

その中でも、多く来られるのは外耳炎の患者さんです。

耳が痛いといって来られることが多いです。

 

さて、外耳炎中耳炎、一般的には違いが難しいと思います。

この2つはどう違うのか、について今回は触れてみたいと思います。

上記のイラストをご覧ください。

鼓膜より外側が「外耳」、内側が「中耳」ですね。

この外耳バイ菌(細菌)が入って痛くなったり腫れたりするのが「外耳炎」です。

原因として多いのは、耳掃除です。

耳掃除は気持ちがいいのでついつい毎日やってしまう人も多いです。

しかし耳の皮膚は弱いので、強く触ると傷がつき、そこにばい菌が入ってしまうことがあります。

この、鼓膜の外側の炎症のことを、「外耳炎」と言います。

 

では「中耳炎」はどういったものでしょうか。

鼓膜の内側細菌が入って炎症を起こしてしまうことを、「中耳炎」といいます。

通常鼓膜が壁になっていますので、鼓膜の外側から細菌が入る事は原則ありません。

ですので、プールで耳に水が入っても、一般的には中耳炎にはなりません。

(鼓膜に穴が空いている場合は別です)

この原因は、風邪などをきっかけに、図の「耳管」を通じて、鼻の菌が中耳に上がってきて炎症を起こすことによります。

子供さんが中耳炎を起こしやすいのは、この耳管が短く、太いため鼻から耳へ細菌が流れていきやすいからと言えます。

 

まとめると、外耳炎は「鼓膜の外側」から、中耳炎は「鼓膜の内側」から細菌がはいって炎症を起こしている状態なのです。

それぞれ治療などは違いますが、これはまた機会があれば触れていきたいと思います。

 

以上、今回は「外耳炎」と「中耳炎」の違い、でした。

気になることがあれば、ご遠慮なく我々に何でも聞いてくださいね!

 

 

「細菌」と「ウイルス」の違いについて

副院長の米澤です。

一旦は落ち着いたかのように見えた新型コロナウイルスの流行ですが、日本を含めた全世界で再び感染拡大のニュースが飛び交うようになってきました。

しかし、第一波の時と比べて、新型コロナによる重症化数や死亡者数は圧倒的に少なく、その理由としては、感染している世代が違う、若年者は感染しても重症化しにくい、検査を含めた医療体制が整ってきた、などが言われており、今回は全国的な緊急事態宣言までは不要であると考えられています。

もちろん、60歳以上の高齢者や併存疾患を持った方にとっては引き続き注意が必要であり、そのような方に若年者が移さないようにする意識も一層重要であると考えます。

なお、「新型コロナウイルス」に関する最新の詳しい情報については、LINE(https://line.me/ja/)の当院公式アカウント(にしかわ耳鼻咽喉科)に随時更新しています。ご興味のある方は当院公式アカウントをご登録の上、ご確認頂ければと思います。

 

さて、本日は、「細菌」と「ウイルス」の違いについてのお話です。

そもそも、世間を騒がせている新型コロナウイルスは文字通りウイルスであり、細菌ではありません。ですから、菌をやっつける抗菌薬、すなわち抗生物質は効果がありません。

それでは、細菌ウイルスの違いについてもう少し詳しく説明していきましょう。

細菌ウイルスも目に見えない非常に小さな微生物ですが、人間に感染して病原性を示す細菌は実はひと握りなのです。乳酸菌や納豆菌などを食品として積極的に摂取することからも分かりますね。

一方、ウイルス細菌と異なり細胞では構成されていないため、人間や動物に感染して初めて成長、増殖し、その多くは何らかの病原性をもちます。

人間にとっての一般的な細菌感染症としては、溶連菌感染症、尿路感染症、細菌性食中毒、淋病、結核などがあり、その治療はターゲットとなる細菌に効く抗菌薬(抗生物質)が中心となります。

他方、ウイルス感染症としては、インフルエンザ、風邪、帯状疱疹、ウイルス性胃腸炎、水ぼうそう、はしか、おたふくかぜ、HIVなどがあり、今回の新型コロナウイルスもそのひとつです。治療としては、インフルエンザや帯状疱疹などに対しては抗ウイルス薬が存在しますが、あくまでウイルスの増殖を防ぐのが目的であり、基本的には対症療法が中心となります。すなわち、解熱剤、痛み止め、せき止めなどを用いながら、水分摂取、安静を指示します。

二次的な細菌感染症(副鼻腔炎、中耳炎、肺炎など)が疑われた場合には抗菌薬(抗生物質)を投与することもあります。

もちろん、ウイルス感染症の予防として、ワクチン接種は非常に有効であることが分かっています。新型コロナウイルスに対するワクチンの開発を全世界の人々が心待ちに注目しているわけです。

 

以上、「細菌」と「ウイルス」の違いについてでした。

細菌感染症、ウイルス感染症の診断・治療については、われわれ耳鼻科医が得意とする領域のひとつです。

何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

 

アレルギー性鼻炎のレーザー治療について

暖かくなってきましたね。

梅雨も終わりを迎えつつあり、本格的に夏がやってくる気配が感じられます。

コロナも落ち着く感じがありませんが、こちらは徐々にデータが蓄積してきていますので、闇雲に怖がることなく、適切な予防をしていくのがよいと思っています。

こちらに関しては時々当院のLINE公式アカウントで触れていますので、よければご登録ください。

 

さて、今日はアレルギー性鼻炎治療の一つ、レーザー治療について触れてみたいと思います。

アレルギー性鼻炎の、保険が使える治療として、大きく分けると

① 飲み薬、点鼻薬

② レーザーなどの手術

③ 舌下免疫療法

に分けられます。

そのうち、レーザー治療のメリットは、

● 治療後、傷が治ればすぐ効果が見込める

● うまくいけば飲み薬や点鼻薬を減らす、使わなくて済むようになり、快適に日常生活を過ごせる

● 効果が切れても何度でもできる

● 特に鼻づまりでしんどい方には効果が高い

などが挙げられます。

特に、飲み薬が全然効かない、飲み薬を飲むと眠くなってしまう、など、例えば受験生の方などには一つの方法といえると思います。

 

逆にデメリットは、

● 効果が1年、長くて2年程度

● 手術後鼻の中の傷が治るまで3週間程度鼻水、鼻づまりがある。

● 鼻づまり以外の症状には効果が限定的なことがある。

などが挙げられます。

 

ハウスダストアレルギーで、年中鼻がつまり、市販の点鼻薬が離せない、というような方もよくおられます。

しかし市販の点鼻薬は常用すると鼻の粘膜を痛めてしまい、かえって鼻づまりがひどくなることがあります。

そういった方は、レーザー治療は検討の余地があるかもしれません。

また、上述の受験生などにも適していると思います。

 

当院は、レーザー治療と同じ効果で出血や痛みも少なく済む機械として、アルゴンプラズマを用意しています。

ご興味がある方は、ご相談いただければと思います。

当院アルゴンプラズマサイトはこちら