「細菌」と「ウイルス」の違いについて

副院長の米澤です。

一旦は落ち着いたかのように見えた新型コロナウイルスの流行ですが、日本を含めた全世界で再び感染拡大のニュースが飛び交うようになってきました。

しかし、第一波の時と比べて、新型コロナによる重症化数や死亡者数は圧倒的に少なく、その理由としては、感染している世代が違う、若年者は感染しても重症化しにくい、検査を含めた医療体制が整ってきた、などが言われており、今回は全国的な緊急事態宣言までは不要であると考えられています。

もちろん、60歳以上の高齢者や併存疾患を持った方にとっては引き続き注意が必要であり、そのような方に若年者が移さないようにする意識も一層重要であると考えます。

なお、「新型コロナウイルス」に関する最新の詳しい情報については、LINE(https://line.me/ja/)の当院公式アカウント(にしかわ耳鼻咽喉科)に随時更新しています。ご興味のある方は当院公式アカウントをご登録の上、ご確認頂ければと思います。

 

さて、本日は、「細菌」と「ウイルス」の違いについてのお話です。

そもそも、世間を騒がせている新型コロナウイルスは文字通りウイルスであり、細菌ではありません。ですから、菌をやっつける抗菌薬、すなわち抗生物質は効果がありません。

それでは、細菌ウイルスの違いについてもう少し詳しく説明していきましょう。

細菌ウイルスも目に見えない非常に小さな微生物ですが、人間に感染して病原性を示す細菌は実はひと握りなのです。乳酸菌や納豆菌などを食品として積極的に摂取することからも分かりますね。

一方、ウイルス細菌と異なり細胞では構成されていないため、人間や動物に感染して初めて成長、増殖し、その多くは何らかの病原性をもちます。

人間にとっての一般的な細菌感染症としては、溶連菌感染症、尿路感染症、細菌性食中毒、淋病、結核などがあり、その治療はターゲットとなる細菌に効く抗菌薬(抗生物質)が中心となります。

他方、ウイルス感染症としては、インフルエンザ、風邪、帯状疱疹、ウイルス性胃腸炎、水ぼうそう、はしか、おたふくかぜ、HIVなどがあり、今回の新型コロナウイルスもそのひとつです。治療としては、インフルエンザや帯状疱疹などに対しては抗ウイルス薬が存在しますが、あくまでウイルスの増殖を防ぐのが目的であり、基本的には対症療法が中心となります。すなわち、解熱剤、痛み止め、せき止めなどを用いながら、水分摂取、安静を指示します。

二次的な細菌感染症(副鼻腔炎、中耳炎、肺炎など)が疑われた場合には抗菌薬(抗生物質)を投与することもあります。

もちろん、ウイルス感染症の予防として、ワクチン接種は非常に有効であることが分かっています。新型コロナウイルスに対するワクチンの開発を全世界の人々が心待ちに注目しているわけです。

 

以上、「細菌」と「ウイルス」の違いについてでした。

細菌感染症、ウイルス感染症の診断・治療については、われわれ耳鼻科医が得意とする領域のひとつです。

何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

 

フェイスマスクについて

副院長の米澤です。

最近、“withコロナ”という言葉をよく耳にするようになりました。

新型コロナウイルスと共に生きていく、そういう覚悟が必要な世の中になったということだと思います。

もちろん、覚悟と言っても、日本を含めたアジア各国における新型コロナウイルス感染症の致死率が欧米に比べると圧倒的に低い事実からも、過剰に恐れる必要はありません。

コロナに“かからない”、コロナを“うつさない”ための正しい知識を得ることが重要と考えています。

さて、本日は、フェイスマスクについてのお話です。

新型コロナウイルスが世界で広まりつつあった当初、米疾病対策センター(CDC)や世界保健機関(WHO)は、「フェイスマスクに感染予防効果はない」と否定的な見解を出していました。

ところが、最近になって「発症前の人から感染するリスクを減らせられる」などの利点があるという科学的根拠が複数の論文で発表され、「社会的距離(ソーシャルディスタンス)を維持するのが難しい公共の場では布製マスクを着用することを推奨する」と、これまでの見解を修正しました。

手作りの布製マスクでも問題ないとのことです。

ただし、2歳未満の幼児、呼吸に問題がある人などには着用させないようにと勧告しています。

これまでは一部の人達に限られていましたが、今後は、公共の場におけるフェイスマスクの着用が常識となっていくのでしょうか。

以上、フェイスマスクについてでした。

 

参考:https://www.pnas.org/content/pnas/early/2020/06/10/2009637117.full.pdf

コロナウイルスでも話題の、嗅覚・味覚障害について

副院長の米澤です。

新型コロナウイルスの感染が世界中で広がり、日本での流行もその例外ではないことが毎日のニュースを見ていると分かりますね。

 

世間ではインターネットを中心に様々な情報が飛び交っており、不安を煽るようなものも多く含まれているように思います。

新型コロナウイルスを正しく理解し、正しく対処することが非常に重要と私たちも考えています。

そこで、本日は、最近話題の嗅覚・味覚障害について簡単に説明します。

実は、嗅覚・味覚障害はインフルエンザや一般的な風邪でも起こる症状であり、新型コロナウイルス感染症に特有のものではありません。

嗅覚障害については、ちくのう(副鼻腔炎)や花粉症(アレルギー性鼻炎)でも起こることがあります。

現時点では、新型コロナウイルス感染症に伴う嗅覚・味覚障害に対する特効薬はなく、症状は自然に治ることが多いとされています。

われわれ耳鼻科医が所属している日本耳鼻咽喉科学会のホームページ(リンク)では、「におい」や「あじ」の異常を感じても、発熱や咳、息苦しさ、だるさがなければ2週間不要不急の外出を控えるようにとコメントされています。

匂いがわからない、と思っても、他の病気の可能性の方が高いですから、それだけで決して不安にならないようにしてくださいね。

新型コロナウイルス感染症を正しく理解し、怖がりすぎず、きちんと対策していくことが大事だと思います。

 

疑問に感じられることがあれば、気軽にお聞きくださいね。

1日でも早い感染拡大の終息を切に願っています。