手術が必要になることもある「扁桃炎」について

副院長の米澤です。

今年も残すところわずかとなりました。

例年であれば、12月は忘年会やXmasパーティーなどで街中は賑わうはずなのですが、今年は新型コロナウイルスの流行で外出は控えて、自宅でゆっくり過ごそうと思われている方が多いのではないでしょうか。

飲食業界の方たちにとっては、外出自粛が売り上げに大きな影響を及ぼしていることは明らかです。

われわれが出来ることとしては、料理などの持ち帰りやデリバリーサービスなどで少しでも売り上げに貢献し、コロナ禍のXmas、年末年始を何とか乗り越えたいものです。

さて、本日は、手術が必要になることもある「扁桃炎」についてのお話です。

扁桃炎とは、ノドの入り口にある左右2つの扁桃腺が炎症を起こす病気です。扁桃炎の症状としては、ノドの腫れノドの痛み発熱嚥下困難(飲み込みづらさ)、呼吸困難感(息苦しさ)首の痛み(リンパ節炎)などがあります。

扁桃炎のほとんどは、一般的なかぜの原因となるウイルスの感染によって引き起こされますが、細菌の感染が関与することもあります。

扁桃炎の治療としては、抗炎症薬鎮痛剤去痰剤抗生物質ネブライザーなどを組み合わせて行います。適切な診断の元に治療を行えば多くは数日で症状は改善しますが、なかなか良くならない場合には点滴治療を追加することもあります。

また、ノドの腫れがひどい場合や扁桃腺周囲が膿瘍化(扁桃腺の周りに膿がたまる)した場合には入院や緊急手術が必要な事もあります。

このような重篤な合併症を併発したり、1年間に4回以上の扁桃炎を繰り返すような時には計画的な入院のうえで、扁桃腺の切除を行う場合があります。

外来診察中に、「扁桃腺が大きいので手術してほしい」、「何度もノドが痛くなるので扁桃腺を取ってほしい」といったご希望を伺うことがあるのですが、

そのような場合には、『扁桃腺が大きいだけでは手術は必要ありません』、『ノドの痛みが全て扁桃炎というわけではなく、咽頭炎であることの方が多いです』とお答えしています。

ただ、すべてのケースでこれらが当てはまるわけではないので、扁桃炎咽頭炎を疑う症状でお困りの方は耳鼻科で一度相談することをお勧めします。

以上、手術が必要になることもある「扁桃炎」についてでした。

「扁桃炎」に限らず、何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

鼻水がのどに落ちる「後鼻漏」について

副院長の米澤です。

早いもので今年も残り2カ月となりました。朝晩はグッと冷え込むようになり、風邪の症状で来院される患者さんがさらに増えてきているように感じます。いまのところ、インフルエンザ流行の兆しはありませんが、新型コロナウイルス対策としても重要な体調管理、感染予防、3密を避ける行動は非常に大切なことだと考えます。

 

さて、本日は、鼻水がのどに落ちる「後鼻漏」についてのお話です。

後鼻漏とは、鼻の奥から粘液がのどに落ちる病態を表す医学用語であり、独立した病名ではありません。

 

代表的な後鼻漏の原因としては以下のようなものがあります。

・風邪

・ちくのう(副鼻腔炎)

・アレルギー性鼻炎

・寒暖差

・特定の食品/香辛料

・妊娠

・脱水症状

・特定の薬(経口避妊薬や降圧薬など)

・解剖学的異常

・逆流性食道炎

 

症状としては、のどの違和感または痛み痰のひっかかり鼻づまり鼻水声がれ

といったものがあります。

 

治療としては、ちくのう(副鼻腔炎)が疑われる場合には抗生物質や去痰剤の投与、アレルギー性鼻炎の場合には抗ヒスタミン剤やステロイド点鼻薬の投与、胃酸の逆流が考えられる場合には胃薬の投与が有効な治療となります。

 

また、家庭でも出来る対応としては

・粘液を薄くするために水分摂取

・塩水または生理食塩水での鼻うがい

・部屋の加湿

アルコールやカフェインなどの脱水症状を引き起こす物質を避ける

タバコや急激な温度変化を避ける

 

以上、鼻水がのどに落ちる「後鼻漏」についてでした。

「後鼻漏」に限らず、何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

 

舌の痛み「舌痛症」について

副院長の米澤です。

 

10月に入り、朝晩はめっきり寒くなってきました。急な気温の変化で体調を崩されて、診察に来られる方も増えてきました。

例年、12月~2月にかけてインフルエンザ流行のピークをむかえるのですが、今年は新型コロナウイルスの流行もあり、特に体調管理、感染対策が重要な年と考えます。

当院でもインフルエンザ予防接種インターネット予約来院での予約回線混雑回避の観点から、電話での予約は受け付けていません)が開始となり、10月12日からは実際のワクチン接種が始まります。

今年の冬は、これまで以上に万全の態勢で臨みたいですね。

さて、本日は、舌(した)の痛み「舌痛症」についてのお話です.

 

舌痛症とは、明らかな原因が分からない、舌(した)の痛みに対する医学用語です。この症状は、舌(した)に限ったものではなく、歯ぐき、口唇、頬の裏側、口全体に及ぶこともあり、まるでやけどしたかのような灼熱感を伴うこともあります。

近年、明らかな原因が分からないと言われていた舌痛症に対して、様々な原因が指摘されるようになってきました。

 

代表的な舌痛症の原因としては

・口の渇き(口内乾燥症)

・口の真菌感染症(口腔カンジダ症)、ウイルス感染症、細菌感染症

・栄養不足(鉄、亜鉛、ビタミン不足)

・アレルギー

・胃酸の逆流(逆流性食道炎)

・特定の薬

・歯ぎしりなどの習慣

・糖尿病や甲状腺機能低下症などの内分泌障害

・不安、うつ病、ストレスなどの心理的要因

治療としては、口腔カンジダ症が疑われる場合には抗真菌薬の投与、ビタミン・栄養不足の場合にはその物質の補充胃酸の逆流が考えられる場合には胃薬の投与といったように

それぞれの原因に適した対応が重要です。

また、舌痛症と診断された患者様の中には、舌白板症、舌がんといった腫瘍性病変が隠れていることも比較的まれではありますが存在します。週単位、月単位で症状が続く舌(した)の異常を認める際には、耳鼻咽喉科、内科、歯科を受診することをお勧めします。

 

以上、舌(した)の痛み「舌痛症」についてでした。

 

withコロナ時代に迎える最初の冬が何事もなく過ぎていくことを切に願います。

舌(した)の痛みに限らず、何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

「逆流性食道炎」と「食事」の関係について

副院長の米澤です。

 

9月に入ってからも、まだまだ暑い日が続いている中、日が沈む時刻は少しずつ早くなり、着実に秋の気配を感じられるようになってきました。

秋といえば、紅葉狩り、秋の夜長、読書の秋、食欲の秋など、みなさんはどのような秋を思い浮かべるでしょうか?今年は新型コロナウイルスの影響で、様々なイベントが中止または縮小化されるようになり、巣ごもり生活でついつい食べ過ぎてしまう方が増えるかもしれません。

 

そこで、本日は、「逆流性食道炎」と「食事」の関係についてのお話です。

逆流性食道炎とは、当院ホームページの「病気の解説」

https://nishikawa-mimi.com/disease/throat08.htmlにもあるように、胃酸が食道、さらにはのど(咽頭)に逆流し、胸やけげっぷ長引く咳胃もたれおなかが張る(腹部膨満感)、声がれ(嗄声)、のどの違和感(咽喉頭異常感)といった様々な症状を生む病気です。

その要因としては、食生活(早食い、大食い、食後すぐに横になる)食事内容(脂っこいもの、甘いもの、酸っぱいもの、香辛料、コーヒー、アルコール、炭酸飲料)といったものが複合的に関係していると考えられており、近年は食生活の欧米化で患者数は増加していると言われています。

診断には問診が最も重要で、状況に応じて内視鏡検査を行うこともあります。

治療としては、生活指導(腹八分目で規則正しい食事、食後2~3時間は横にならない)食事内容の工夫(原因となるような飲食物は控える)寝るときに頭部を少し上げる内服薬(胃薬)を組み合わせて行います。

問診の段階で診断できることも多いですが、アレルギー性鼻炎ちくのう(副鼻腔炎)が原因である場合もあり、上に挙げたような症状でお困りの方は耳鼻咽喉科や内科で相談されることをお勧めします。

 

以上、「逆流性食道炎」と「食事」の関係についてでした。

新型コロナウイルス流行下での巣ごもり生活を快適に過ごすためにも、食べ過ぎには注意をして、食欲の秋を楽しみたいですよね。

何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

外耳炎と中耳炎の違い

院長の西川です。

まだまだ暑い日が続き、いつまで続くのか、と思いますが、いかがお過ごしでしょうか。

耳鼻科は、花粉症の時期と、風邪が流行る寒い時期が患者さんが多く混む時期で、夏場は耳鼻科領域の病気が少なく比較的空いています。

その中でも、多く来られるのは外耳炎の患者さんです。

耳が痛いといって来られることが多いです。

 

さて、外耳炎中耳炎、一般的には違いが難しいと思います。

この2つはどう違うのか、について今回は触れてみたいと思います。

上記のイラストをご覧ください。

鼓膜より外側が「外耳」、内側が「中耳」ですね。

この外耳バイ菌(細菌)が入って痛くなったり腫れたりするのが「外耳炎」です。

原因として多いのは、耳掃除です。

耳掃除は気持ちがいいのでついつい毎日やってしまう人も多いです。

しかし耳の皮膚は弱いので、強く触ると傷がつき、そこにばい菌が入ってしまうことがあります。

この、鼓膜の外側の炎症のことを、「外耳炎」と言います。

 

では「中耳炎」はどういったものでしょうか。

鼓膜の内側細菌が入って炎症を起こしてしまうことを、「中耳炎」といいます。

通常鼓膜が壁になっていますので、鼓膜の外側から細菌が入る事は原則ありません。

ですので、プールで耳に水が入っても、一般的には中耳炎にはなりません。

(鼓膜に穴が空いている場合は別です)

この原因は、風邪などをきっかけに、図の「耳管」を通じて、鼻の菌が中耳に上がってきて炎症を起こすことによります。

子供さんが中耳炎を起こしやすいのは、この耳管が短く、太いため鼻から耳へ細菌が流れていきやすいからと言えます。

 

まとめると、外耳炎は「鼓膜の外側」から、中耳炎は「鼓膜の内側」から細菌がはいって炎症を起こしている状態なのです。

それぞれ治療などは違いますが、これはまた機会があれば触れていきたいと思います。

 

以上、今回は「外耳炎」と「中耳炎」の違い、でした。

気になることがあれば、ご遠慮なく我々に何でも聞いてくださいね!