ハウスダスト(ダニ)アレルギーに対する舌下免疫療法を開始するなら 今の時期がおすすめです

副院長の米澤です。

ようやく、数年ぶりに大量飛散したスギ・ヒノキ花粉もピークを越えたようです。

花粉症の症状で悩まれた方は、やっと穏やかな日々を過ごせるようになってきたのではないかと想像しています。

さて、スギ・ハウスダスト(ダニ)アレルギーに対する

唯一の根治治療である舌下免疫療法については、みなさんご存知でしょうか?

 

2014年に保険適用された比較的新しい治療であり

11、錠剤を舌下(舌のうら)1分間保持してから飲み込むだけの治療です。

詳しい内容は当院HPの記事(https://www.nishikawa-mimi.com/nishikawa-slit/)

をご覧いただければと思いますが、簡単な内容は以下の通りです。

 

メリット

6080の方で効果が期待できる

錠剤の服用であるため従来の注射と比べて体への負担が少ない

保険適用の治療である(3割負担の場合、月に2000円程度)

小児でも治療が出来る(子ども医療費助成の対象です)
デメリット

治療期間が3~5年である

スギ花粉が飛散している時期には開始出来ない

・口腔内のかゆみや口唇の腫れ、まれに喘息発作様の全身症状が出ることがある

 

年齢制限はありませんが、錠剤の舌下保持の観点から、当院では5歳以上の方を対象としています。

治療開始時期についても、スギ花粉のシーズンが終わるGW明けから12までとしています。

 

なお、今年はスギ花粉の飛散が全国的に非常に多かったため、

スギアレルギーに対する舌下免疫療法をご希望される方が予想以上に多いようです。

そのため、スギアレルギー用薬剤(シダキュア)の出荷調整が行われている状況で、当院でも現時点では

新規の患者様の受け入れをストップしております。

スギアレルギーに対する舌下免疫療法の開始が可能になりましたら、

改めてこのブログ当院ホームページでご案内する予定ですので、しばらくお待ちください。

 

幸い、ハウスダスト(ダニ)アレルギーに対する舌下免疫療法(ミティキュア)については

新規の患者様の受け入れを含めて、問題なく開始できる状況ですので

ハウスダスト(ダニ)アレルギーでお困りの方は舌下免疫療法について

一度検討されてみてはいかがでしょうか?

なぜ花粉症でノドが痛くなるのか?

副院長の米澤です。

穏やかな日差しに春の訪れを感じる頃となりましたね。

ようやく、新型コロナウイルス流行の第8季節性インフルエンザの流行はピークを過ぎたようです。

ところが、今年は当初の予想通りスギ花粉の飛散が全国的に多く

今は花粉症の症状で悩まされている方が多いのではないでしょうか?

当院でも、数年ぶりに花粉症の症状が出てつらい

ノドが痛いけど花粉症なのか風邪なのか分からない

といった訴えで来られる患者さんが今年は多いように思います。

 

そこで、本日は、なぜ花粉症でノドが痛くなるのか?

についてお伝えします。

花粉症の主な症状は、くしゃみ鼻水鼻づまり目のかゆみですが、

ノドの痛み花粉症一症状とされています。

花粉症は、花粉などのアレルゲン物質が体内に入ることで、

免疫細胞過剰な反応を起こしてアレルギー症状を引き起こす疾患です。

花粉症によるノドの痛みは、

ノドの粘膜に接触した花粉などのアレルゲン物質によって、

好酸球や好中球といった免疫細胞過剰な反応を起こし、

炎症や腫れを引き起こすことで生じます。

さらに、喉の渇きなどの症状も生じることがあります。

また、花粉症によって鼻づまりが生じ、口呼吸をすることが多くなるため、

ノドの粘膜乾燥して痛みを感じることもあります。

 

ただし、ノドの痛み強くなる場合や、熱が出るノドが赤く腫れるなどの症状がある場合は、

花粉症以外の疾患が原因となっている可能性もあるため、医師の診察を受けることが重要です。

以上、なぜ花粉症でノドが痛くなるのか? でした。

 

花粉症と風邪の見極めについては、われわれ耳鼻科医が得意とする領域のひとつです。

何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

インフルエンザ、コロナに抗生物質は効くの?

副院長の米澤です。

 

新型コロナウイルス流行8ですが、ようやくピークを過ぎてきたようです。

政府からも、新型コロナウイルス感染症法上の分類今年の58に、

これまでの2類相当から季節性インフルエンザと同じ5に変更されると発表されました。

3年前に流行し始めた新型コロナウイルスは、いよいよwithコロナの時代に突入し、

最低限の感染対策手洗いうがい)は引き続き必要なものの、

以前のようなマスクなし日常生活を取り戻せるようになると考えています。

 

さて、本日は、以前にもお伝えしたことのある

「細菌」と「ウイルス」の違いについてです。

そもそも、世間を騒がせてきた新型コロナウイルスや今シーズンに久しぶりに流行したインフルエンザウイルス

文字通りウイルスであり、細菌ではありません。

ですから、菌をやっつける抗菌薬、すなわち抗生物質は効果がありません。

 

それでは、細菌ウイルスの違いについてもう少し詳しく説明していきましょう。

細菌ウイルスも目に見えない非常に小さな微生物ですが、

人間に感染して病原性を示す細菌は実はひと握りで、人間にとって有益な細菌は多く存在します。

乳酸菌納豆菌などを食品として積極的に摂取することからも分かりますね。

なので、健康のためにせっかく摂取した乳酸菌が不適切な抗菌薬(抗生物質)の投与でやられてしまうと本末転倒というわけです。

人間にとっての一般的な細菌感染症としては、

溶連菌感染症、尿路感染症、細菌性食中毒、淋病、結核などがあり、

その治療はターゲットとなる細菌に効く抗菌薬(抗生物質)が中心となります。

一方、ウイルスは細菌と異なり細胞では構成されていないため、

人間や動物に感染して初めて成長、増殖し、その多くは何らかの病原性をもちます。

一部の特殊な治療を除いて、基本的には人間が積極的に摂取すべきウイルスは存在しません。

 

人間にとっての一般的なウイルス感染症としては、

帯状疱疹、ウイルス性胃腸炎、水ぼうそう、はしか、おたふくかぜ、HIVなどがあり、

インフルエンザ新型コロナウイルスもそのひとつです。

治療としては、帯状疱疹インフルエンザ新型コロナウイルスなどの抗ウイルス薬が存在しますが、

あくまでウイルスの増殖を防ぐのが目的であり、基本的には対症療法が中心となります。

すなわち、解熱剤痛み止めせき止めなどを用いながら、水分摂取、安静を指示します。

急性上気道炎(いわゆる、鼻かぜ喉かぜ)の90ウイルスが原因で、

抗ウイルス薬は存在せず細菌ではないので抗菌薬(抗生物質)も無効です。

ただし、二次的な細菌感染症(副鼻腔炎、中耳炎、肺炎など)が疑われた場合には

抗菌薬(抗生物質)を投与することもあります。

もちろん、ウイルス感染症の予防として、ワクチン接種は非常に有効であることが分かっており、

新型コロナウイルスに対するワクチン接種についても、多くの方が受けられたのではないでしょうか。

このように、細菌感染症鼻かぜ喉かぜに代表されるウイルス感染症の治療は全く異なるのです。

 

以上、「細菌」と「ウイルス」の違いについてでした。

細菌感染症ウイルス感染症の診断・治療については、われわれ耳鼻科医が得意とする

領域のひとつです。何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

 

今年の花粉飛散量は多い予想です。花粉症に対する「初期療法」をお勧めします!

副院長の米澤です。

今年の冬は、新型コロナに加えてインフルエンザが流行しています。

ある程度は予想されていた状況とはいえ、不安に思われている方も多いのではないでしょうか。

どちらも高齢の方、重症化リスクのある方は特に注意が必要であり、

マスク着用手洗いうがいといった感染対策ワクチン接種による予防対策が重要であると考えています。

 

さて、本日は昨年の2月にもお伝えした、花粉症に対する「初期療法」についてのお話です。

まず、花粉症の治療には、

大きく分けて薬物療法アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)手術療法の3つがあります。

さらに、薬物療法には、花粉が飛び始める以前あるいは症状が軽い時期から薬の使用をはじめる「初期療法」

症状が強くなってしまってから始める「導入療法」

初期療法や導入療法で症状が抑えられた状態を保つ「維持療法」があります。

 

比較的症状の軽い方であれば、花粉が飛び始めてから薬物療法を開始しても構いませんが、

中等度以上の症状である場合、症状が出現してからでは薬物療法もなかなか効きにくいことがあります。

中等度以上の症状とは、

1日のくしゃみ回数または鼻かみ回数6~10回以上と定義されています

鼻アレルギー診療ガイドライン2020)。

そのような方に対しては、花粉が飛散する1,2週間前から薬物療法を開始することで、

①症状の発現を遅らせる

②花粉飛散ピーク時の症状を抑えることが出来ると報告されています。

「初期療法」で使用する薬物療法は、

症状の種類や程度生活スタイルに合わせてアレンジする必要があり、

われわれ耳鼻咽喉科医に直接相談して頂くことをお勧めします。

また、「初期療法」のタイミングについても、

その地域における花粉の飛散時期に合わせて判断する必要があります。

スギ花粉であれば、われわれの住んでいる近畿では例年、2月中旬に飛散し始めることが多く、

1月下旬頃からスギ花粉症に対する「初期療法」は開始することをお勧めしています。

 

今年スギ花粉の飛散予想ですが、

四国中国近畿では例年と比べてやや多く、

昨年と比べると非常に多い見込みのようです。

全国的に見ても、例年比昨年比いずれも多いと予想されており、

春の花粉症に毎年悩まされている方には、「初期療法」を行うことをお勧めします。

以上、花粉症に対する「初期療法」についてでした。

花粉症に対する「初期療法」以外でも、

何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。

今年の冬は新型コロナとインフルエンザが同時流行するのか?

副院長の米澤です。

前回のブログでもお伝えしましたが、

今年の冬新型コロナウイルスインフルエンザ同時流行が起きる可能性について、

様々なニュースでも報道されるようになってきました。

厚生労働省からも、落ち着きつつあった新型コロナウイルス流行の第7波もその後下げ止まり、

10月20日までの1週間集計で約2カ月ぶりに増加に転じており、

第8波が起きる可能性は非常に高い」と発表されています。

インフルエンザはまだ国内で流行の兆候は見られていませんが、

この夏に南半球のオーストラリア流行したこと、

日本ではインフルエンザウイルスに対する抗体保有率が低下していることからも、

日本でも3シーズンぶりにインフルエンザ流行する懸念が高まっています。

当院にも最近検査すると陽性となった方がまだ少数ですがおられます。

同時流行は十分起き得る事態だと思います。

新型コロナウイルスインフルエンザウイルス大きさもよく似ていて、感染経路はいずれも飛沫感染接触感染です。

症状発熱のどの痛み頭痛全身倦怠感と共通しており、症状だけでは一般的な風邪症状との区別も難しいのが現状です。

それでは、われわれの出来る対策は何があるでしょうか?

 

それは、日ごろからの感染対策です。

コロナの流行ですっかりと定着した、手洗いうがいの励行はもちろんのことですが、

今年は特に、新型コロナウイルスワクチンおよびインフルエンザワクチンの接種についてしっかりと準備する必要があります。

なお、新型コロナワクチンインフルエンザワクチンとの同時接種については、

有効性及び安全性問題がないことが確認され、実施が可能厚生労働省から発表されています。

当院でも12歳以上を対象に新型コロナウイルスワクチン6カ月以上を対象にインフルエンザウイルスワクチンの接種を行っております。

予約方法などの詳細については以下のブログをそれぞれご参照ください。

新型コロナ

https://nishikawa-mimi.com/blog/2022/09/30/10gatsukoronawakutin/

インフルエンザ

https://nishikawa-mimi.com/blog/2022/10/07/2022influyoyaku/

以上、今年の冬は新型コロナウイルスとインフルエンザが同時流行するのか?でした。