副院長の米澤です。
みなさん、今年のお正月、3連休はどのように過ごされましたでしょうか?
昨年末から感染者数が全国的に再増加傾向であった新型コロナウイルスの影響で、帰省や初詣といった、例年であれば当たり前のように行っていたイベントなどを自粛せざるを得なかった方も多かったのではないでしょうか。
しかし、いよいよ2月下旬からは新型コロナウイルスのワクチン接種が国内でも順次、行われる計画のようです。夏には1年延期されていた東京オリンピック・パラリンピックの開催も予定されています。
今年こそは、これまで苦しめられてきたコロナ禍の生活を何とか乗り越えて、今までは当たり前のように行ってきたことを、当たり前のように行える日々を1日でも早く取り戻したいものです。
さて、本日は、花粉症に対する「初期療法」についてのお話です。
まず、花粉症の治療には、大きく分けて薬物療法、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)、手術療法の3つがあります。
さらに、薬物療法には、花粉が飛び始める以前あるいは症状が軽い時期から薬の使用をはじめる「初期療法」、症状が強くなってしまってから始める「導入療法」、初期療法や導入療法で症状が抑えられた状態を保つ「維持療法」があります。
比較的症状の軽い方であれば、花粉が飛び始めてから薬物療法を開始しても構いませんが、中等度以上の症状である場合、症状が出現してからでは薬物療法もなかなか効きにくいことがあります。中等度以上の症状とは、1日のくしゃみ回数または鼻かみ回数が6~10回以上と定義されています(鼻アレルギー診療ガイドライン2020)。
そのような方に対しては、花粉が飛散する1,2週間前から薬物療法を開始することで、①症状の発現を遅らせる、②花粉飛散ピーク時の症状を抑えることが出来ると報告されています。
「初期療法」で使用する薬物療法は、第2世代抗ヒスタミン薬、鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)、ロイコトリエン拮抗薬といった、「導入療法」や「維持療法」でも使用する薬が中心となりますが、症状の種類や程度、生活スタイルに合わせてアレンジする必要があり、われわれ耳鼻咽喉科医に直接相談して頂くことをお勧めします。
また、「初期療法」のタイミングについても、その地域における花粉の飛散時期に合わせて判断する必要があります。スギ花粉であれば、われわれの住んでいる関西では例年、2月上旬~中旬に飛散し始めることが多く、
1月下旬頃からスギ花粉症に対する「初期療法」は開始することをお勧めしています。
毎年、春の花粉症に悩まされている方々、今年は「初期療法」を行ってみてはいかがでしょうか?
以上、花粉症に対する「初期療法」についてでした。
なお、当院では、スギ花粉症およびダニ・ハウスダストが原因のアレルギー性鼻炎に対するアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)、鼻づまりに対するアルゴンプラズマレーザー治療も行っておりますが、これらの治療は1月末でいったん受付を締め切らせて頂いております。
これは、2月以降のスギ・ヒノキ花粉飛散ピーク時に新たな治療を行うことによる副作用出現リスクを回避するためであり(すでにこれらの治療を開始されている方は引き続き治療を継続して問題ありません)、ヒノキ花粉飛散のピークが過ぎた6月以降には、改めてアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)、アルゴンプラズマレーザー治療のいずれの治療も再開しております。
ですので、これらの治療を考えられている方は、今月、1月中のお問い合わせまたは受診をお勧めします。花粉症、新型コロナ、一緒に乗り越えていきましょう!
花粉症に対する「初期療法」以外でも、何かご不明なことなどあれば、いつでも相談して下さいね。