口の中が乾く、口呼吸の原因と改善について

日常生活や寝ている間に口呼吸になり、口の中が乾く、唇が乾燥するといった症状に悩んでいる方が多くいらっしゃいます。原因として考えられるのが、呼吸が鼻呼吸ではなく口呼吸になっていること(鼻づまりや睡眠時無呼吸症候群)、口腔乾燥症などが考えられます。ここでは、考えられる原因や疾患について記載します。

【参考】
通常、人は鼻で呼吸するのが正常な状態です。鼻で呼吸することで、取り込む空気の湿度調整を鼻水によって行ったり、鼻毛や線毛、鼻粘膜によってホコリや細菌、ウィルスなどの侵入も防ぐようになっています。また、口で呼吸するよりも取り込む空気を温めることができ、肺にかかる負担を軽減する効果もあります。口呼吸になってしまうことで、口の中が乾いたり、唇が乾燥したり、感染症にかかる可能性が高まってしまいます。

考えられる原因・疾患について

アレルギー性鼻炎・花粉症

アレルギー性鼻炎とは、ある特定のアレルギー原因物質(ダニ、ホコリ、花粉など)を吸入することで、体が反応し、くしゃみや鼻水、鼻づまりを引き起こす症状です。主な原因物質は、ダニ、ホコリ、ペットの毛・フケ、スギ・ヒノキなどの花粉が考えられます。そのため、花粉症もアレルギー性鼻炎の一種となります。
アレルギー性鼻炎による症状が原因で鼻がつまり、口呼吸になってしまい、口の中が乾く原因となってしまいます。アレルギー性鼻炎を治療するには、原因物質を特定する検査を行い、内服薬などを使い治療することができます。

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慢性副鼻腔炎(蓄膿症)

鼻の周囲、頬の奥や眼の奥には、副鼻腔という空洞があり、鼻の中と繋がっています。その副鼻腔内で細菌感染を起こしたり、真菌やむし歯の炎症が原因で急性副鼻腔炎を発症することがあります。その炎症が慢性化し、黄色い鼻汁、鼻づまり、頭痛、顔面痛などの症状を引き起こします。
慢性副鼻腔炎による症状が原因で、鼻呼吸がスムーズにできなくなり、口呼吸になってしまい、口の中が乾く原因となってしまいます。慢性副鼻腔炎は数回の通院で治すのは困難です。しっかりと治療を受けるようにし、症状を改善させる必要があります。

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睡眠時無呼吸症候群

朝起きた時に口の中が乾く、口呼吸になる原因として考えられるのが睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に無呼吸状態を繰り返す病気です。医学上は10秒以上の気流停止を無呼吸といい、一晩(7時間)の睡眠中に30回以上無呼吸が認められる場合、あるいは1時間に5回以上無呼吸がある場合に睡眠時無呼吸症候群としています。
睡眠中の出来事であるため自分で気がつくことは稀で、潜在患者数は300万人もいると推計されています。21世紀の国民病といわれることもあります。治療法が確立されているため、適切に検査・治療を行えば決して恐い病気ではありませんが、放っておくと高血圧や心臓循環障害、脳血管障害などにつながるリスクがあります。

当院でも口の中が乾く、口呼吸になってしまうと悩まされている患者様の相談をお受けした場合には、問診を行い、自宅でできる簡易検査を実施して、睡眠時無呼吸症候群の診断を実施しております。

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口腔内乾燥症

口腔内乾燥症とは、唾液の分泌量が低下してしまい口の中が乾いてしまう症状があります。
原因として考えられるのは、加齢、ストレス、糖尿病、シェーグレン症候群、腎不全、更年期障害、他疾患の治療薬の副作用などが考えられます。症状が悪化してくると、強い口臭、むし歯の原因、舌表面のひび割れ、摂食障害などを引き起こします。口の中が乾く症状でお悩みの場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

原因・疾患を特定するために

上記に記載したように原因疾患はいくつか考えられますが、日常生活からある程度ご自身で判断して原因となっている疾患などについてできるだけ早く改善するために、鼻水や鼻づまりの症状がある方は、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎(蓄膿症)を疑い、耳鼻咽喉科を受診しましょう。原因疾患が解消すれば口呼吸から鼻呼吸に自然と改善されます。

睡眠障害が疑われる方は、睡眠時無呼吸症候群の簡易検査を受けることをお勧めします。検査は耳鼻咽喉科や内科で対応している医療機関を事前にホームページなどで調べて来院するようにしてください。また、治療が必要になった場合は、通院が必要になりますのでなるべく通いやすい医療機関を選ぶようにしてください。

検査概要

医療機関で問診を受け、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあった場合、睡眠中の状況を把握するために自宅での簡易検査を行います。手指にパルスオキシメトリーを装着して無呼吸による低酸素状態を診断する検査と、鼻に呼吸センサーを装着して気流やいびきを計測する検査があります。本体装置は手首式血圧計を少し大きくした程度の大きさで、就寝中はマジックテープで手首に巻いたりして保持します。

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【参考】
睡眠時無呼吸症候群の簡易検査だけでは判断できない患者様もいらっしゃいます。その場合には精密検査が必要となります。具体的には
簡易検査では結果をAHI(無呼吸低呼吸指数)で示します。これは睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数を合計した数値です。その結果次第で、脳波や睡眠の質(深さ)などを検査する必要がある際に行われるのが精密検査PSG(ポリソムノグラフィー)検査です。
この検査には1泊の入院が必要です。とはいえ、検査機器を取り付けて眠るだけで、痛みもなく寝ている間に終了します。仕事終わりに入院し、翌朝の出勤前に退院できるよう配慮している医療機関もたくさんあります。
PSG検査では脳波、眼球運動(眼電図)、オトガイ(下あご)の動き(筋電図)を基本に、呼吸、心電図、血液中の酸素飽和度、前頸骨筋電図、いびきの音、睡眠時の姿勢・動きなどを同時に記録することで、睡眠深度や睡眠の経過、睡眠時異常行動、睡眠中の呼吸や循環の生理現象を総合的に調べることができます。当院でも専門医療機関と連携しております。

検査結果について

睡眠時無呼吸症候群と診断された方は、治療が必要となります。

睡眠時無呼吸症候群の治療について >>

また、軽度な睡眠時無呼吸症候群だと診断された方には、症状が悪化しないようにするためにも下記のような改善内容をご説明します。

【中・長期的な取り組み方】
・適正体重にするように日常生活を改善する
・口呼吸になっている場合は、原因疾患治療する(例:蓄膿症、アレルギー性鼻炎など)

【短期的な取り組み方】
・飲酒する回数・量を減らす
・寝ているときの姿勢改善する

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睡眠時無呼吸症候群ではないと診断された場合

上記に記載した口腔内乾燥症の可能性がある場合は、問診や簡易検査の結果をもとに治療内容を検討し、専門的な治療が必要と判断される場合は医療機関をご紹介しています。

口の中が乾く症状を改善するために

上記に記載したように、口の中が乾く症状でお悩みの方は、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎などの耳鼻咽喉科疾患による口呼吸が原因になっている場合があります。適切な治療方法を耳鼻科の先生から診察を受け改善するようにしてください。
睡眠時無呼吸症候群による場合は、簡易検査を受け、治療を行い、寝ている間の口呼吸を鼻呼吸に改善しましょう。睡眠の問題は、患者様の生活の質(QOL)を低下させてしまうだけではなく、重症化すると交通事故や思わぬトラブルを引き起こしてしまう重大な原因につながってしまいます。症状が徐々に進行していくために、気になってはいるものの、検査を受けるのを先延ばしにされていらっしゃる方も多いと思いますが、交通事故などのトラブルを引き起こしてしまう前に原因を特定して改善するようにしましょう。

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また、口の中が乾く原因として口腔内乾燥症の可能性もあります。早期に原因を特定するためにも症状にあった診療科を受診するようにしてください。

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